運動神経向上のコツ 〜褒め方〜

前回、運動神経向上のコツとして、親の関わり方について書きました。今回は、褒めかたについて述べてみたいと思います。

まず、新しい事を始めたり、何かを習得するための練習をするときに、その練習が効果的で継続的に行えるかどうかの重要な要素の一つとして「楽しんで出来ているかどうか」ということが挙げられます。

実際、「やっていて楽しい」と感じないと、なかなか身につかないし、続かない。

だから、親が子どもになにかを教える時に必要なこととして「褒める」ということがとても大切です。誰だって、褒められると嬉しいし楽しい。もっとやってみようとなりますよね。

指導者によっては、怒鳴ったり叱ったりすることを日常的に行っている人もいます。危ないことや、プレー以外の所でやってはいけないことをしたときに叱ることは必要ですが、例えばキャッチボールでボールが取れないことを怒ってもしかたありません。私からすれば、自分の指導力の無さを証明しているようにしか見えません。

こんな実験があります。猿を使った実験で、ランプがついてレバーを叩くとジュースが出る装置を作り、その仕組みを理解できるように猿をトレーニングして、装置を理解した上でレバーを叩くようになった時の脳のドーパミン神経系を調べると、ジュースが出たときに出ていたドーパミン(中枢神経系に存在する神経伝達物質で快の感情、意欲などに関係する)が前倒しされ、ランプがついた時に反応するようになりました。

これを言い換えれば、子どもが良いプレーをした時に、親やコーチが褒めることを繰り返すと、子ども本人が「プレーをしよう」と思っただけでも快感を感じたり、やる気が出るようになるということです。

「じゃあ、褒め続けて楽しければ万事解決!」というわけでもありません。

体験的に感じている人もいるかもしれませんが、ただひたすら褒め続けていても、反応が鈍くなって、褒めることが効果的ではなくなってきます。

そういった状態の解決策も猿の実験で明らかになっています。
ランプがついてレバーを叩いた時、いつもジュースが出てくることが問題なので、その確率を50から70%程度に設定すると、学習するまでの時間はかかりますが、ランプがついた時も、実際にジュースが出たときにも反応するようになりました。
これを子どもの褒めかたに適用するなら、最初は褒め続けることは重要ですが、それに慣れてくる前に、褒める機会を減らすことが大切になってきます。

私の持論ですが、子どもの指導において「気分をのせれば半分成功」。後の半分は指導技術ですが、指導技術と同じくらい子どもの気持ちをつかむことは大切なことだと私は思っています。

上手に褒めることは、良い指導の最初の一歩でもあり、指導の中核をなす大切な要素です。

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