応急処置の基本『RICE』

今回はスポーツ活動中に「捻挫」「骨折」「肉離れ」「打撲」などのスポーツ外傷が発生した際に、医療機関へ行く前に行うべき応急処置の基本である「RICE」処置についてお話しします。

RICE(ライス)処置は、最近のスポーツの現場、指導者レベルでは常識となりつつありますが、まだまだ一般の方には広く知られてはいません。このRICE処置は、受傷後に行わなければならない行動の頭文字を取ったもので、次の4つの処置を指します。

・R「Rest(レスト)=安静」
・I「Ice(アイス)=冷却」
・C「Compression(コンプレッション)=圧迫」
・E「Elevation(エレベーション)=挙上」

スポーツ外傷が発生した後は、そのほとんどに「炎症」が起きます。炎症は、損傷の治癒のために体にとって必要なものですが、過剰な炎症は怪我の回復を遅らせることになるので、この4つの処置を同時に素早く行うことが必要となります。

・R「Rest(レスト)=安静」
受傷後も動き続けていると、患部の血流量が増え、痛みや腫れが増してしまうので、受傷後はすぐに安静にすることが必要です。また腱の断裂や肉離れの場合は、筋肉が引き延ばされないようにできるだけ緩めた状態で安静にすることが大切です。

・I「Ice(アイス)=冷却」
アイシングは、この4つの処置の中では知られている方ではないでしょうか。冷却刺激により、血管が収縮することで内出血を起こりにくくさせることと、アイシング部位の感覚を鈍くして痛みを軽減させる効果があります。

・C「Compression(コンプレッション)=圧迫」
血管や周囲の組織を圧迫することで、血流を制限したりリンパ液が流れ込むのを防ぎ、腫れを抑える効果があります。腫れは受傷後5~6時間たった頃が一番激しくなるので、継続して圧迫することが必要です。

・E「Elevation(エレベーション)=挙上」
患部を心臓よりも高い位置に挙上することで、患部に流れ込む血液やリンパ液を減少させます。また患部から出ていく血液やリンパ液も増え、腫れを抑える効果があります。

以上がRISE処置と呼ばれるものです。しかし日常生活を行う上で、患部をずっと心臓より挙げた状態を保つことや安静を維持し続けることは難しい事だと思います。そのような点を含めて、RISE処置の中でも絶大な効果を持つのは「冷却」ですので、「怪我をしたらすぐ冷やす」を覚えておいてほしいと思います。

次回のコラムは「Ice(アイス)=冷却」についてもう少し詳しく説明したいと思います。

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