『失敗する』ということについて

 我々ARPSの指導者は子ども達に、「先生達は君たちが失敗しても絶対怒ったりしないから、少し難しくてもチャレンジしようね」とよく言います。ARPSに長く通ってくださっている方は聞きなれていることでしょう。
 
 人はどうしても『失敗する』ということが恥ずかしいと思ってしまいます。失敗を恐れて行動自体をやめてしまう子どもを沢山みてきました。
しかしよく考えてみると、そもそも失敗というのは出来ないままでやめてしまうから失敗になってしまうわけで、成功するまで続ければ、それまでの失敗はただの過程だという考え方ができます。
 子どもたち(時に我々大人も)が、うまくいかなかった事をすぐに「失敗だ」という判断を下してしまい、成功までの道のりを自ら閉ざしてしまっていることも多いと思います。

 子どもたちが「失敗だ」と思って諦めてしまう要因はいくつかありますが、その一つに、周りの大人が「すぐにできて凄いね」という言葉を乱発してしまうことが挙げられます。
どういう事かというと、すぐに出来た時に「もう出来るようになったの?凄いね」といわれればもちろんその時は嬉しくなりますが、逆を言えば『すぐに出来ないと失敗』という認識になってしまい、簡単なことばかりにしか手を付けず、難しいことにはチャレンジしなくなる恐れがあります。
 したがって私は、「すぐに出来ることも凄いけど、出来るようになるまで頑張れることはもっと凄いんだよ」という言葉かけをします。

 また、目標の設定ミスも「失敗した」と思いがちになる要因です。自分の能力よりも高すぎる目標を設定した場合、達成感や自己肯定感を感じるまでの道のりが長すぎて、心身が疲弊しまいます。
 先日も、スラックライン(綱渡り)のイベントで、ある子どもが、休憩する間も惜しんでずっと練習していましたが最後まで渡りきることが出来ずに悔しくて泣いていました。
そもそも初めてスラックラインをやって最後まで歩ききれる人は大人も含めてかなり稀です。したがってこの場合は、1時間のうちに『最後まで渡ることが成功』と目標設定したことが「出来なかった」と悔しい想いをした原因となります(その悔しさが次へのモチベーションになれば悪くはありませんが)。

 つまり、本人の『力量』と『続けられる力』そして『課題の難易度』の3つを見極め、バランス良く目標を設定し、その課題を乗り越えるためにどういった道筋や作戦を立てるかが成功への鍵となるのです。これは大人になって社会に出ても必要な能力だと言えるでしょう。

 「私は失敗したことがない。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と言ったエジソンの姿勢を見習いたいものです。

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