指導者の使命 ~悪質タックル問題から~

 悪質タックル問題が日本中で騒がれています。この件に関して監督・コーチの責任は明白ですが、これは何も私たちと関係ない世界の話ではありません。子どもを持つ親として、『指導者を見る目』を養うきっかけとなる出来事の一つではないでしょうか。

 問題の監督とコーチは、教わることが害になる見本のような指導者であり、強い憤りを通り越して悲しくなりました。2018年1~3月のコラム、『強いチームは良いチーム?』『ほんとうに大切なこと』『ほんとうに敵ですか?』でも、この事件を危惧していたかのような事を書いたばかりでした。

 今回の事件から選ぶべきではない指導者をキーワードとして羅列するのであれば、以下のことが挙げられるでしょう。

  ・スポーツをする本来の目的を忘れている(子どもの人間的成長を軸にしていない)
  ・「勝つ」ことだけに執着する(勝つためならなにをしても良い)
  ・子どもをロボットのように動かす(子ども自身が考える隙を与えない)
  ・独裁者のように振る舞う
  ・対戦相手を敵だと思っている(悪者は怪我をしても構わない)
  ・すべては監督・コーチの責任という認識の欠如

 試合に出す出さないを盾に、本意でない悪質なプレーをさせる。そして子どもの人格形成にまでも悪い影響を及ぼし、人生をも狂わすような指導者(指導者と呼ぶことさえも憚る程に)は、絶対に許してはいけません。

 加害者である選手の会見では、「高校の時に面白いと思っていたアメフトが、大学でどんどん楽しくなくなってきた」と語っていました。そして最終的には「もうアメフトをする気になれない」と言わしめた監督・コーチの責任は計り知れないほど重いと思います。なぜなら指導者は技術だけでなく、自分が教えるものの楽しさを伝えるという使命があると考えるからです。

 ここまで酷い指導者は少ないのかもしれませんが、私たち指導者はもう一度自分達の役割と責任の大きさを見つめなおすこと、そして親は安心して子どもを任せられる指導者を見極める目を養っていきたいものです。

ARPSホームページ参照:
2018年1月コラム『強いチームは良いチーム?』
2018年2月コラム『ほんとうに大切なこと』
2018年3月のコラム『ほんとうに敵ですか?』

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